教育・研究

経済学部教員コラム vol.34

2014.03.17 経済学科 野口 雄一

「経済学の初歩-高校出張講義から」

数年に一度、高校への出張講義の依頼があり、いろいろな高校に出かけて講義をしています。大学での講義を大学進学、特に経済学部への進学を考えている高校生に知ってもらうために経済学の初歩を話すのですが、私の専門は経済理論ですので、ミクロ経済学で最初に出てくる、市場とそこでの需要と供給の話が中心になります。このコラムでは、出張講義の内容を簡単にお話したいと思います。

 

まず、ミクロ経済学の基本である「市場」とは何でしょうか?一般には、築地での魚の競り売りが一番わかりやすい例でしょう。全国の漁場から魚という財が築地の市場に集められ、売られます。これを魚の供給と言います。一方、東京エリアを中心に多くの人が築地に来て魚という財を欲して買います。これを魚の需要と言います。そして、築地の市場では、築地の仲買人が魚の価格を独特なやり方で提示し、買いたい人たちも独特のサインを仲買人に送り返し、取引が成立します。

 

しかし、経済学での「市場」とはより広い意味での財の経済取引を指しています。例えば、コーラの市場とは何でしょうか?一ヶ所にコーラが集められ、コーラを買いたい人がそこに集まるという、築地市場での取引のようなことは実際にはありません。代わりに、コーラはスーパー・マーケット、コンビニ、自動販売機、など様々な場所・やり方で売られており、買いたい人は提示されている価格を支払って買うのが普通です。

 

このように、コーラが様々な場所で様々なやり方によって売買されている取引全体を「コーラの市場」と考えます。このように考えると、ひとつひとつの市場がどう機能しているのかを分析する必要があるように思えますが、ミクロ経済学では市場取引を非常に単純に見ることで、現実に行われている多くの市場取引を少なくとも近似的に分析できると考えます。それが「価格の理論」です。

 

この理論では、仲買人が財の市場(例えば、オレンジの市場)で財一単位の価格をアナウンスし、売りたい人たちはその価格で売りたい量(これを供給量と言います)を提示します。一方、買いたい人たちもその価格で買いたい量(これを需要量と言います)を提示します。そして、仲買人は供給量が需要量を上回っているときは、売れ残りが生じてしまうので、価格を下げることで需要量(供給量)を増やそう(減らそう)とします。逆に、需要量が供給量を上回っているときは、買えない人たちが出てくるので、価格を上げることで需要量(供給量)を減らそう(増やそう)とします。

 

このように供給量と需要量に応じて価格が調整されることを「市場メカニズム」と言い、最終的には、供給量と需要量が一致する価格に行き着き、そこで安定すると考えることができます。なぜなら、この価格の下では、売りたい量はすべて売れ、買いたい量はすべて買えるわけですから、価格が変化する要因がありません。大事なことは、このような価格調整が現実の経済取引でも観察されることです。つまり、市場取引というシステムが自動的に供給量と需要量を一致させてくれて、経済取引が円滑に行われるというわけです。これは非常に重要で、世界中の人たちと経済取引している現在では、膨大な量の取引が行われていますが、これが円滑に行えるのもこのような市場メカニズムのおかげと言えます。

 

(経済学科 野口 雄一)

  • 一覧に戻る
PAGE TOP
〒236-8501 横浜市金沢区六浦東1-50-1 TEL:045(786)7056
Copyright(c)2013 Kanto Gakuin University All rights reserved.