教育・研究

経済学部教員コラム vol.60

2015.03.09 経済学科 宮本 守

「オバマ政権の皆保険への挑戦」

周知のように、日本では国民すべてがいずれかの公的医療保険に加入し、皆保険制が実現されています。一方、アメリカでは基本的に民間医療保険ですので、4,000万人から5,000万人(人口の約1/5)の医療保険に加入できない人々がいると言われます。

 

オバマ政権は、この無保険者をなくし皆保険制を実現するという壮大なプロジェクトをスタートさせました。これは「オバマケア」と呼ばれます。そもそも、民間保険会社にすべての国民を加入させることは不可能です。この難題を解決する裏ワザが「リスク調整」という方法です。

 

例えば、A保険会社とB保険会社という2つを考えます。A社は持病のある人も受け入れるのに対し、B社は持病のある人を受け入れません。そうすると、A社は医療費支払いが増えて、B社よりも利益が小さくなることは容易に予想できます。この場合、A社とB社の予想利益率が等しくなるように、B社からA社にお金をあらかじめ支払います。その後は、両社の経営努力、すなわち市場原理に任せます。

 

最終的に、例えばA社の経営努力により当初の予想と異なりA社のほうがB社よりも大きな利益が出たとしても、そのための再調整は行われません。いかにもアメリカ的な発想ですが、いまのところオバマケアが成功したという話は聞こえてきません。

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