教育・研究

経済学部教員コラム vol.8

2013.08.19 共通科目教室 中村 桃子

「”電話したんすか?”は、新しい敬語っす!」

「電話したんか?」
「マズイっよ。」
「スゴイっ。」

 

最近、学生がよく使っていることばに「す」があります。この「す」は、どこから来ているのでしょうか。もとの言葉づかいを推測してみると、下のように「です」が「す」になっていることがわかります。

 

 

「電話したのですか?」→「電話したんか?」
「マズイですよ。」→「マズイっよ。」
「スゴイです。」→「スゴイっ。」

 

では、なぜ「です」を「す」と言うようになったのでしょうか。実は、「です・ます」のような表現は、ていねいな言葉、つまり、敬語の一種だと言われています。だとしたら、若い人が、「です・ます」のかわりに「す」を使うようになったのは、敬語をそのまま使えない状況が多くなったからだと考えられます。

 

その背景には、人間関係の変化があります。人間関係が固定していた時代には、下の人が上の人に敬語を使うという考え方が成立しました。けれども、対等な関係が重んじられる現代では、その時々に相手との距離を調整することが大切になります。ことばにも、上下関係より親疎関係を調整する働きが求められるようになったのです。

 

その結果、これまで相手への敬意を表現していた敬語が、相手との距離も表現することになってしまいました。「です・ます」では、距離がありすぎるのです。そこで、「です・ます」の距離を縮めるために考え出されたのが「す」です。「す」は、相手との親しさも失わずに敬意も表すことができる、新しい敬語なのです。「す」の例は、若い人が、社会の変化に対応して言葉を作り出していることを示しています。
興味を持った方は、『<性>と日本語―――ことばがつくる女と男』(NHKブックス)をご覧になってください。

 

次回のコラムでは、「やあ、ジョン。ぼくは、マイケル」のような、日本人が使わないのに海外の男性に使われることばを取り上げます。

 

(共通科目教室 中村 桃子)

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