教育・研究

経済学部教員コラム vol.27

2014.01.27 共通科目教室 中村 友紀

「余技力アップのすすめ。オタクの強み」

1月末です。大学生には、定期試験の試練を乗り越えれば長い春休みが、受験生には、受験の試練を乗り越えれば晴れて大学生活が待っている、という希望の季節なので、これからなにか新しいことをしようと考えている学生の皆さんへの一つのおすすめを書きます。

 

私が学生だった頃、授業でドラマを読んでいたとき、先生から言われたのは、「シェイクスピアは1600年前後のイングランド社会では古典ではなく、大衆のエンターテインメントでした。娯楽作品とは、一つや二つを知っていても仕方がない。だから、シェイクスピアだけ読んで終わるのではなく、当時の演劇をたくさん知ってください。」ということでした。さらに師曰く、「例えば時代小説なら、中里介山でも藤沢周平でもなんでも読んでみて初めて、時代小説とはどんなものが見えてくる。『鬼平犯科帳』数巻を読んだだけでは時代小説は語れません。娯楽作品とはそういうもの。」ということでした。

 

 

専門家やマニアは、好き嫌いの基準で限定せずあれもこれも漁った上で、ジャンル全体を理解しています。アニメでもゲームでもなんでもそうですが、娯楽作品とは、一つや二つの少数が存在するのではなく、ジャンルとして群生します。エンターテインメントには人気という要素が大前提で、ヒット作には人気を当て込んだ類似作品が後続し、また、人気作は影響力をふるって似たものをたくさん誘発するので、量があります。量に触れてみることで、共通する傾向やパターン、さらに変種のパターンも見えてきます。また、人々がその娯楽に何を求め、どこをどう面白いと思っているのかを考えているうちに、その背景にある社会や文化が見えてきます。そこまでやると、押しも押されもせぬ〜〜通です。

 

 

娯楽作品には必ずマニアックなファンがいます。彼らの強みは、得意分野を通じてものの見方を培っているところです。自分自身で展開する知的活動は、思考や行動の軸になり、個性の源泉にもなります。まっとうなオタクへの社会の評価が意外と高い理由は、そのあたりにあります。大学時代に得意分野を持ちたい人は、なにか特定の領域をマニアックに追及してみてはいかがでしょうか。余技に時間とエネルギーを投資できるのは、学生の特権です。関心あることを開拓し、どこにでも出かけていって、無駄なようでいて中途半端ではない知識と経験を蓄積してください。それが就職活動などでウリになるとすれば、詳しい知識そのものを褒められるというよりは、蓄えて掘り下げる術を知っていることや、なにかを能動的・継続的に積み上げた経験が評価されるのです。

 

ちなみに写真は、当ゼミナールで行った見学会の写真です(能楽堂と歌舞伎座)。これも経験を増やすための研鑽の一環です。

 

(共通科目教室 中村 友紀)

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