Column

経済学部教員コラム vol.18

経済学部教員コラム vol.18

朴 正洙

「コミュニケーション」

今回のコラムでは、「コミュニケーション」について考えてみたいと思います。「コミュニケーション」とは、社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うことと定義されます。誰かのことをよく知りたい、または自分のこともよく理解してほしい。ということで、人間は常に「コミュニケーション」を取ろうとします。

企業も同様です。いくら品質の良い製品をつくっても、消費者に知ってもらわなければ売れません。つくれば売れる時代には、「コミュニケーション」の必要性はありませんでした。ところが1990年代以降インターネットの普及・コモディティ化・デジタル化・グローバル化などによって、消費者は世界中のウェブサイトから買い物をし、価格を比較し、必要なものやサービスを手に入れるようになりました。その結果、マーケティング戦略の軸が「製品」から「コミュニケーション」に移動し、「ブランド」の重要性が強調されるようになったと思います。

私は大学卒業後、就職したのは銀行でした。配属された支店のカウンターに座り、日々感じていたのは、こうして常にお客様と向き合っていても、企業はお客様を見ていないのではないかと思いました。むしろ、上からの目線でお客様をみていたと思います。企業は、もっと真摯に消費者と社会のニーズに応えるべきだと思い、改めて大学院に進みマーケティング研究の道へ、人生の舵を切りました。

マーケティングの本質は、受け手である消費者のことを徹底的に調べて考えることです。現在、グローバル市場で成功している企業の多くは、それを実践し、消費者と上手に「コミュニケーション」をとれている企業ばかりではないかと思います。マーケティングが企業経営と深く結び付くようになったこんにち、企業経営そのものが「コミュニケーション」であるといっても過言ではないと思います。

(経営学科 朴 正洙)