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経済学部教員コラム vol.2

経済学部教員コラム vol.2

田中 史生

「新発見!日本の歴史」

このたび朝日新聞出版より、週刊朝日百科「新発見!日本の歴史」が創刊されました。日本史に関する最新の研究成果を、写真やイラストを交えてわかりやすく紹介する新シリーズです。全部で50冊の刊行が予定されています。そのうち、私が責任編集を担当した第3号が、7月2日に発売となりました。

この第3号は、「聖徳太子」の時代がテーマです。聖徳太子(厩戸王)は、古代史のなかでも卑弥呼とならぶ有名人です。しかし、彼の偉業を伝える史料の多くは、理想の皇太子像をもとめる後世の人たちの思いで大きくゆがめられています。「聖徳」という名前ですら、彼の死後半世紀以上たってつけられたものなのです。
本号では、最近の研究成果を踏まえ、この謎多き王子の姿に迫るだけでなく、仏教伝来が古代社会に与えたインパクトや、当時の緊迫した国際情勢、北海道や琉球列島、出雲などの列島各地の様子を具体的に紹介しながら、飛鳥時代の幕開けを広域的、立体的に描くことに努めました。飛鳥周辺の遺跡配置が一目でわかる鳥瞰地図や、初の大王発願寺院で、九重の塔を誇った百済大寺(吉備池廃寺)の復元イラストも注目です。多くの研究者、関係者の方々にご協力頂き、「新発見」がよくみえるものとなりました。

ちなみに、ここに掲載した写真は、第3号の表紙で、人物画は、武将イラストで著名な諏訪原寛幸さんによるものです。右から推古大王(天皇)、厩戸王(聖徳太子)、蘇我馬子となっていて、目力を感じます。

ところで、このシリーズは全国発売に先立ち、創刊1号〜3号だけ、この春、静岡県で先行発売されています。静岡でお菓子などの先行販売があることはよく知られていますが、こういう雑誌でもテスト販売があるのですね。

(共通科目教室 田中 史生)