Column

経済学部教員コラム vol.33

経済学部教員コラム vol.33

小山 嚴也

「シンガポール事情」

この夏、シンガポールに出かけて日系企業の調査を行いました。今回はシンガポールで気づいたこと、感じたことについてお話したいと思います。

シンガポールといえば、規制が厳しいことで有名ですよね。例えば、落書き、ビラ貼りは2,000ドル以下の罰金または3年以下の禁固および3~8回のむち打ち(!?)、水洗トイレの水を流さないと初回は150ドル以下、2回目は500ドル以下、3回目以降は1,000ドル以下の罰金(だれがどうやってチェックするんだ?)、地下鉄へのドリアンの持ち込み禁止(なぜか罰金なし)などがあります。とりわけタバコに関する規制は厳しく、禁煙エリアで喫煙した場合は1,000ドル以下の罰金が科せられます。ちなみに、1,000シンガポールドルは、およそ86,000円です。

シンガポール訪問は今回で2回目です。行く前は路上でタバコを吸ってる人なんか全然いないんだろうなと思っていました。が、行ってみたら…、普通に皆さんそこら辺で吸ってます。歩道のいたるところに灰皿が設置されていますし、デパートの裏口あたりも自然発生的な喫煙所になってます。多分、喫煙ルールは日本の方が厳しいですね。びっくりしました。

シンガポールの英語は「シングリッシュ」と呼ばれ、独特な言い回しがあることで知られています。主語を省いてみたり、動詞を過去形にしなかったり、マレー語や中国語が混ざっていたり。適当に単語を並べたり、時制を無視したりしてもなんとなく伝わってしまう感じです。もっとも、相手がしゃべっている言葉も聞き返さないとよくわからないのですが。

シンガポールは多民族国家なので、異なる民族間で意志疎通できるように英語が使われているんですね。英語を使わないと日常的にコミュニケーションがとれない。だから、極端に言えば、文法的に正しいとか間違ってるとかはどうでもいいわけです。まさに手段としての英語です。日本人はしっかり英文法を理解しているんだけど、話せませんよね。私自身もダメです。ちょっと考えさせられます。

東京オリンピックに向けて、外国人旅行者が増えてくることが予想されています。日本国内にいてもグローバル化が進むわけです。シンガポールの妙に細かいルールも、あうんの呼吸が通じない外国人相手には重要なのかもしれません。同時に、どこか幅を持たせることも大切なのかもしれません。意志疎通を第一に、物おじせず、ともかく言葉(英語)を発していくのも大事です。シンガポールには日本のグローバル化にとっての大きなヒントが隠されているような気がします。