Column

経済学部教員コラム vol.47

経済学部教員コラム vol.47

橋本 健広

「海外で働くと...?」

経済学部では2015年度から「海外ボランティア論」、2016年度には「海外インターンシップ」という授業を開講します。これは海外でのボランティアやインターンシップ活動を通じて、英語の有用性に気づき、日本語以外の言葉を話す人々と一緒に仕事する力を身につけることを目的とした授業です。

授業を開設して学生を送り出すにあたり、自分自身はどうだったかと振り返ってみました。新しい授業と似たような活動として、私はこれまでに海外での仕事を二度、ボランティアを一度行う機会があったことに気づきました。そこで当時の体験について少し思い出して書いてみたいと思います。

仕事のひとつは、オーストラリアの日本人学校で中学生に国語と数学を教える教員の仕事でした。当時メルボルンの大学に留学していたのですが、クラスメートでもともと教員をしていた人に、二ヶ月ほど日本に帰るから代用教員を引き受けてくれないかと頼まれたのがきっかけです。その話を聞いて、急いでインターネットにつないで留学ビザを留学ワーキングビザに切り替え、また税金申告の番号を取得して公式に仕事ができるよう準備しました。ビザの切り替えは意外と簡単でした。

日本人学校というのは、週末だけ地元の学校の校舎を借りて開講している、特定の目的を持った学校のことで、現地駐在の日本人の子女などが日本に戻ったときに日本の学校の勉強についていけるようバックアップする補習校のことです。午前中に国語、午後に数学を教えました。学生の半分は現地駐在員の子女、いわゆる帰国子女で、もう半分は日本人とオーストラリア人のハーフの中学生たちでした。彼らの違いは日本から一時的にやって来てまた日本に戻るか、それともオーストラリアで日本人を親として生まれてその後もオーストラリアで暮らしていくかの違いです。特にオーストラリアで暮らしていく人たちは漢字の読み書きが難しいようでした。

たまたま数ヶ月前同じ学校の小学校で教員補助のボランティアをしていて、内情がわかっていてその点は気楽でした。とはいえ私にとってはこれが生涯で初めて人前で授業をした経験でしたので、最初とても緊張し無我夢中で授業をしたことを覚えています。青い目の子供たちに日本語を教えるというのは、はじめなんだかとても不思議な気がしました。

また小学校でボランティアをしていたころは、私以外は国際バカロレアという資格を取るためにボランティアしている高校生がほとんどで少し肩身が狭い思いをしました。国際バカロレアというのは、高校生が取る資格ですが、高卒より少し上級の短大卒レベルとなる資格のことで、資格を取るために必要な授業科目のひとつに長文エッセイまたはボランティアというのがあり、ボランティアを選択する学生が多いようでした。

海外の仕事というのは、日本で通常体験できない仕事を経験し、異文化に触れる機会でもあります。10代20代の若い時期に異なる国の文化や慣習に触れるときっとみなさんの一生の財産になると思います。また海外での就業体験やボランティア体験は、異なる文化の人と一緒に仕事や活動を行うよい経験となるでしょう。経済学部で開講する「海外ボランティア論」「海外インターンシップ」の授業科目が、みなさんの今後の人生の糧となりましたら幸いです。

当時の留学先(メルボルン)