Column

経済学部教員コラム vol.48

経済学部教員コラム vol.48

細谷 早里

「台湾の台北大学で行われたサービス・ラーニング国際セミナーに参加」

このハートをあしらった優しい色使いのポスターがとてもかわいらしくて思わず写真を撮ってしまいました。また、中国語でサービス・ラーニングを「服務学習」というのも興味深いですね。

 今、アジア太平洋地域の大学ではアメリカからスタートしたサービス・ラーニングを取り入れることが多くなっています。通常の授業の中に、コミュニティでの活動を折り込み、学生が自分で考えた、コミュニティで必要とされていると思われる活動をします。そうやって社会貢献をしていく中で、自分が授業で学んでいることをどのように社会で生かすことができるかを実体験するのです。活動をすればするほど、自分にはまだまだもっと学ばなければならないことがあることにも気づくでしょう。そうした「気づき」が学びの新たな動機付けとなっていくのです。また、小さいと思われる活動でも、感謝され、喜ばれると自分が社会の一員であると感じることができるでしょう。皆さんが学んだ知識や技術を使って、自分が喜んでできることは何でしょうか?パソコンが苦手の高齢者の方と一緒にエクセルやソフトを用いて家計簿をつけてみたり、球技が苦手な子どもたちと一緒に楽しくプレイできるコツを教えてあげたりなどいろいろあるでしょう。また、教員を目指している皆さんなら、地域の子どもたちの宿題を見てあげたり、できそうなことはたくさんあるのではないでしょうか?いろいろな人たちとふれあうことによって、少しずつ人と接することにも慣れてきて、コミュニケーション能力もついてくるでしょう。皆さんが自分で選んだ活動を行い、その「ふりかえり」をしっかりすることによって、学びはより効果的なものになり、さらに発展していきます。

 私は大学院時代、ボランティアとしてタイ・カンボジア国境にある難民キャンプやバングラデシュで働いたことがあります。特別なことは何もできませんでしたが、現地の人々と旅行者という立場ではなく、もう少し長期的にふれあうことができたのはかけがえのない経験となりました。それまで考えもしなかったグローバルな問題にも関心を持つようになりました。また、難民としてやってきたベトナム人女子中学生の高校受験の勉強のお手伝いをしていた時期もあります。彼女は今、外国人教育相談員として神奈川県内で大活躍をしています。私にとって外国籍の子どもたちの教育について語り合う相談相手でもあります。

 台湾の大学ではサービス・ラーニングを必修としているところもあります。もっとも先駆的な取り組みを行っている輔仁大学 (Fu Jen Catholic University)は本学と協定を結んでいる大学でもあります。2015年のアジア太平洋地域の大学のサービス・ラーニング学会は5月末、この輔仁大学で行われます。アジア地域の大学のさまざまな取り組みを見てきたいと考えています。