Column

経済学部教員コラム vol.85

経済学部教員コラム vol.85

石井 穣

アダム・スミス生誕300周年

みなさんが小学校から高校まで教科書をつかって勉強をしてきたと思います。大学においても、それぞれの分野で使われる教科書的なものはあります。だれでも最初は、教科書という舗装されたきれいな道を通って、勉強をすることでしょう。そのとき、おそらく多くの人は知識を憶えるのに一生懸命で、そのような知識がどこから来たのか、ということはあまり考えないかもしれません。かくいう私も小さい頃はそうでした。

どの学問にも、長さの違いはあれ、今日にいたるまでの歴史があります。数学や哲学は歴史が長く、少なくとも2500年以上前からありました。経済学の歴史は、人によって見解は異なりますが、250年ほどと考えるのが一般的です。これは、わたしたちが生活している市場経済の歴史に対応していています。人々が売り買いを通じて、多くのものを入手するようになったのは、いまから250年ほど前から始まったといわれています。

経済学の歴史を語る場合、多くの人が「経済学の父」と呼ぶ人物がいます。それがアダム・スミス(1723年~1790年)で、市場のしくみを体系的に説明した最初の経済学者といわれています。わたしたちの生活は、多数の人々がいろいろな職業についていて、そういった人々の活動や取引が行われることで、成り立っています。そういった仕組みを明確な言葉で最初に説明したのが、アダム・スミスであったというわけです。

ちょうど今年は、アダム・スミスが生まれてから300年です。きりのよい数字を記念するのは万国共通のようで、300周年をお祝いしようという人々もいます。日本はもちろん世界的にも、さまざまな課題に直面するなかで何を悠長な、と思うかもしれませんが、少し落ち着いて、アダム・スミスから今日にいたる経済学の歴史を思い返してみませんか。問題解決の糸口は、いつも思わぬ所に潜んでいるものですから…。