経済学部教員コラム vol.67
踏み切りのある飛行場
私は研究のための調査や学会・シンポジウムなどのために海外に行く機会が多いのですが、おもしろかった所を紹介しましょう。
私の研究テーマの一つは、大英帝国の帝国としての構造の国際比較です。近代世界の、いわゆる帝国主義諸国、つまりイギリス、アメリカ、日本などを意識しながら、その共通性と差異、あるいは同時性・連続性と断絶を考えてみようとしています。
そうした研究のための調査として、ジブラルタルに行ってきました。ここはスペインの南端に突き出た半島(というより巨大な岩)で、18世紀はじめにイギリスが奪い取って、いまだに植民地として統治しているところです。人口が3万人ほどの小さな所ですが、観光と金融で発展しているようです。もともとはあまり平地がなかったところですが、海を埋め立てて市街地が広がっています。
イギリスのすごいところは、人口3万人の小さな町程度のジブラルタルにも、ジブラルタル国立公文書館を設けて、そこにイギリスが統治し始めて以来の公文書を保管整理し、公開していることです。というので、その公文書館に史料調査に行ってきました。
イギリス本国から派遣されてジブラルタルを統治している総督の官邸の裏側に公文書館があります。ここにある史料についてはいずれ論文として発表する予定ですので、ここでは省略しますが、ジブラルタルで一番おもしろかったことを紹介しましょう。
それはここの空港のことです。その理由は、滑走路を横断する道路が走っていて、飛行機の離発着の際には踏み切りが降りてきて、人や車を止め、それ以外のときは踏み切りが上がって、滑走路を横断していくからです。
スペイン側から見るとジブラルタルはこの写真のような姿です。ここが「ロック(岩)」と呼ばれていることがよくわかります。
この巨大な岩山の右側に町が広がっています。赤い看板の向こうあたりにスペインとイギリスの国境があります。もちろんパスポートチェックがあります。またこの岩山の手前に空港があります。岩山の中腹にある古い砦から空港を見たのが次の写真です。車や歩行者が滑走路を横切っていくのが見えると思います。
空港のターミナルが滑走路の向こう側にあり、そのすぐ側がスペインとの国境ですので、空港に着いてからジブラルタルの町に行くには、滑走路を横断しなければなりません。スペインの方がずっと物価が安くて、食事がおいしいので、夕食を食べに何度も滑走路を渡り国境を越えてスペインに行ってきました。
飛行機が離発着するときには踏み切りが降ります。次の写真がそのときのものです。
空港のターミナルが滑走路の向こう側にあり、そのすぐ側がスペインとの国境ですので、空港に着いてからジブラルタルの町に行くには、滑走路を横断しなければなりません。スペインの方がずっと物価が安くて、食事がおいしいので、夕食を食べに何度も滑走路を渡り国境を越えてスペインに行ってきました。
飛行機が離発着するときには踏み切りが降ります。次の写真がそのときのものです。
車や人を滑走路から全部出したことを確認すると、清掃車らしきものが走ってゴミなどを除 去しているようです。 調査で世界のあちこちを回っていると、思わぬ発見があります。機会があれば、ほかの所の お話もしましょう。今回はこれで。