Column

経済学部教員コラム vol.14

経済学部教員コラム vol.14

橋本 健広

「お茶的なパンク的な」

最近、アダム君という友達が書いている茶道のコラムの日本語校正を手伝っています。オーストラリアのDENGON NETやJENTA Sydney といった雑誌で掲載しているコラムですが、そのコラムがなかなか面白いので、アダム君の茶道を紹介してみることにします(写真はアダム君のブログから拝借しました)。

アダム君は上田宗箇流という流派のお茶の先生です。日本に数年間滞在し、上田宗箇流の茶道を教える免状を取りました。今はオーストラリアのメルボルンでお茶を教えつつ、毎年日本に来てさらに上の免状を取ろうとがんばっています。

アダム君のお茶で面白いのは、上田宗箇流という伝統的なお茶の作法を守りつつ、現代の視点を取り入れて喫茶を進化させているところです。たとえばこちら。

グラフィティーで埋め尽くされた街路で、その場所に合わせた趣向でお茶を立てています。彼はこれをGraffiTEAと呼んでいます。

こちらはアダム君が24時間茶禅一味と名付けた喫茶の取り組みです。現地のお坊さんといっしょに通行人を巻き込んで文字通り24時間お茶を入れ続けたそうです。お茶の精神と禅の精神は同じであるという考えのもとに、お茶と禅のつながりを模索しています。

こちらはアダム君がデュエット茶と呼んでいる喫茶の取り組みです。異なる流派の人と向き合って同時に手前を進める形をとり、流派は違っても同じ茶の道を学んでいることを表現しているとのことです。このイベントでは尺八奏者の方とコラボをし、尺八の音色に合わせてお茶を点てています。

もちろん普通の伝統的なお茶の稽古もしています。これは武家茶道である上田宗箇流に特有の柄杓の扱い方で、刀を鞘に納めるのと同じ動作をします。

みなさん楽しそうにお茶を習っていますね。

私もメルボルンに留学していた時、アダム君にお茶を習っていました。ある日アダム君の家に稽古に行くと、ひと晩煮た小豆が鍋の中にあり、はてこれはなんだろうと思っていると、みるみるうちにその小豆を潰し濾し皮で包んで、その場で稽古用の和菓子を作ってくれました。海外では和菓子は売ってないとのことです。和菓子はお店で買うものと思っていたので新鮮な驚きでした。今まで当たり前と思っていたことが実はそうではなかったと相対化される海外ならではの体験です。

そのほかにも、侍を追求する団体や暗黒舞踏とのコラボをしたり、お茶に座禅を取り入れたりと、日本人にはない視点でいろいろと面白いお茶の取り組みをしています。

みなさんも一風変わったお茶をしてみませんか。

※こちらのリンクも紹介してほしいとのことですので載せておきます。
アダム君のブログ:http://sadosamurai.blogspot.jp/
24時間茶禅一味動画:http://youtu.be/T7PNXKC6uE4
デュエット茶動画:http://youtu.be/pDQqJhoE3_A

(共通科目教室 橋本 健広)