Column

経済学部教員コラム vol.42

経済学部教員コラム vol.42

天野 恵美子

「子どもの消費を考える」

ポケモン、プリキュア、妖怪ウォッチ ――――

少子化の中にあっても子どもたちを夢中にさせる楽しいものは次々と生み出され、子どもたちの周りに溢れています。両親や両祖父母に下支えされた物質的に豊かな子どもの消費は「6ポケッツ」と表現され、今や多くの企業が子どもを取り囲む大人たちをも射程にとらえ、様々なビジネスを展開しています。

かつて教育学部でマーケティング論や消費者問題論等の講義を担当していたこともあり、時代とともに変化する子どもの消費と子どもに対するマーケティングに興味を持ち、海外の子ども関連ビジネスを視野に入れて研究を進めてきました。
日本ではあまり問題視されることのない子ども関連ビジネスですが、米国をはじめ欧州諸国では朝から晩まで、いつでも、どこでも子どもを取り囲む「欲しがらせる、ねだらせる仕掛け」としての広告やマーケティングの過剰性に対して厳しい批判があります。

子どもに対するマーケティングの実態とその問題点を知るために、私は2006年に開催された米国ボストンでの会議に出席しました。以来、折に触れて交流しているのがハーバード大学医学部の心理学者で、子ども向けマーケティングに関する団体Campaign for a Commercial-Free Childhood(CCFC)の代表を務めるSusan Linn 博士です。
先生ははるばる日本からやって来た私を温かく自宅に迎え、子どもに対するマーケティングの問題について話をして下さいました。先生の問題意識や温かくも強いまなざしは私にとって一つの手本であり、先生の著書Consuming Kidsは、子どもに対するマーケティング研究を行うきっかけとなった一冊でもあります。

過日、先生から2015年9月に日本の学会の招待講演のために来日するとの連絡がありました。学校の市場化や学校カリキュラムの商業化を研究している東京学芸大学の上杉嘉見先生(教育学)に相談したところ、下記の日程で講演会を開催することを決定して下さいました(東京学芸大学総合教育科学系教員養成カリキュラム開発研究センター主催)。
この講演会は米国の子どもたちの置かれた消費環境と子どもビジネスの最新動向を知る絶好の機会となるはずです。また、少子化時代の日本の子どもたちの生活や消費の変容について考える上で新たな視点を私たちに提供してくれることでしょう。

興味関心のある方は是非ともご参加下さい。

テーマ:「子どもの生活環境の商業化をめぐる問題」(通訳付)
日 時:2015年9月7日(月) 13時から15時まで
場 所:東京学芸大学小金井キャンパス