Column

経済学部教員コラム vol.44

経済学部教員コラム vol.44

野口 雄一

「教育実習見学」

今年度は、2人の関東学院大学生の教育実習を見学に行く機会がありました。1人は、高校で政治経済の授業実習をし、もう1人は、中学校で地理の授業実習をしました。私が中学生及び高校生だった頃に比べると随分授業の仕方が変わっていて、興味深かったので、このことについて書きたいと思います。

最初の実習見学は、横浜市内の高校で、関東学院大学の実習生が、政治経済の授業を1時間するというものでした。高校の先生方も見学に来ている中で、模擬裁判を通じて、裁判員制度を学習するというものでした。実際に生徒が模擬裁判を演じながら、裁判員制度の用語やシステムを勉強するという形を取っていました。

クラスの生徒たちは6グループに分かれて、各グループが裁判員として模擬裁判の審理に参加し、各グループの中から1人が、さらに裁判官、被告、原告、弁護士、検察官を演じて、模擬裁判を進行させるというものでした。窃盗に関する裁判で、被告が原告の財布を窃盗したかどうかが焦点でした。

模擬裁判のシナリオは良く出来ていて、被告が窃盗したかどうかに関して微妙な証拠や証言が裁判に出てくる一方、決定的な証拠あるいは証言はなく、裁判所が判決を下すというものでした。一番印象に残ったのは、有罪か無罪かについて6グループが3グループずつに分かれてしまい、さらに有罪の判断を下した各グループが与えた量刑もばらばらだったことです。人を裁くことの難しさが実感できて私自身興味深いものでした。

二番目の実習見学は、東京都郊外の中学校で、実習生が社会科で1時間地理を教えるものでした。授業は、この中学校近辺の地図を生徒一人一人が与えられていて、地図の記号や読み方、活用法を学ぶというものでした。実習生が、中学校の周りの色々な場所を実際にカメラで撮影し、PCを使って、それを大型モニターで生徒たちに見せて、どこかを当てさせるということを中心に授業が進みました。生徒たちは、自分の地元ということで、非常に関心を示し、モニターに出てくる実際の場所をわーわー騒ぎながら言い当てて、地図のその場所をチェックしたり、記号を書き込んだりしていて、非常に楽しみながら地理を学習しているのが印象深かったです。

私が中学・高校生だったころは、教科書及び副教材を学習するのが中心で、それだけだと、なかなか興味が湧き難かったのも事実だと思います。最近の中学・高校の授業は、上記で述べたように、生徒たちに模擬体験させたり、ITなどを活用したりしながら、生徒たちが関心を持つように非常に工夫されているのがわかり、私にとって有意義な見学でした。